バーラ・ハルポヴァー
チェコ生まれ。『Thank You Melonik』(2014)で、マグネシア賞・最優秀学生映画賞にノミネート。後にiShorts vol.6短編映画祭とエディンバラ国際映画祭で上映された。次作『Arms Ready』(2016)はPavel Koutecký賞にノミネート、One World FestivalとJi.hlava国際ドキュメンタリー映画祭のコンペティション部門で上映。『A Theory of Equality』(2017)は現代のチェコ共和国における男女平等についての議論を巻き起こし、チェコジャーナルシリーズで上映された。『On the Edge』(2018)では、チェコ共和国の地球平面説に焦点を当てマグネシア賞・学生映画部門の最終候補に選ばれた。『Real(e)state』(2019)では、現在進行中のチェコの住宅危機を描き、One World Festivalでプレミア上映を果たした。最新作『New Oath』では、同性結婚の合法化について描いている。
Q:映画の手法としてなぜ“嘘”(偽アカウント)から作り上げることにしたのでしょうか?
A:私達は子ども部屋の中で起きているこの深刻な事態をどう映像として記録するかという、高度なチャレンジに直面しました。オオカミたちが子どもたちと巧妙にコミュニケーションを取りながら、騙したり操ったりする全てのトリックを事細かに、かつ正確に伝えたいと思いました。今回行った撮影方法には倫理的な脆弱性があったのは事実です。その点からも、このプロジェクトに着手した当初から精神科医、性科学者、弁護士や警察といった専門家たちにも相談しました。同時に、観客にとってもフェアでないといけないと思い、私達が抱いた疑問や、うまくいかなかった状況なども含め、このプロジェクトの過程すべてを包み隠さず見せながら、自分たちの力でこの実験全体を進めることにしました。もしインタビューやルポルタージュのつぎはぎで作ったとしたら、いま子どもたちが経験している“実際のこと”を想像すらできなかったでしょう。
Q:本作に取り組んだことで、このテーマに対するあなたの見方は変わりましたか?
A:見方は変わっていないと思います。わたしは当初から“天使のような子どもたち”と“邪悪な男性たち”という白黒のはっきりした構造では見ていませんでしたから。ただ正直に言うと、一つだけ私を非常に驚かせたことがありました。少なくとも10年間以上前から存在していた現象だとは知ってはいましたが、近年、少年少女たちが自分の裸体の価値に気付き、躊躇いもなくそれを売るようになったということです。ただ仲間外れにされたくない、ただ携帯のアプリが買いたい、というような単純な理由のために。